9月、晩夏とはいえ、まだまだ暑い福島県浜通りで、「ツール・ド・ふくしま」大会オーガナイザーの”ハシケン”こと橋本謙司さんのもと、公式映像を撮影をさせていただきました。その時の様子を記事にまとめてみました。

9月6日(土)「ふくしま復興サイクリング」
「ツール・ド・ふくしま」大会1日目は、東日本大震災とそれに伴う福島第一原発の事故という未曾有の複合災害に直面した福島県浜通り一帯を、自転車で走りながら「見て、感じて、味わい」、復興の最前線に触れていただくことのできるサイクリングイベントでした。600名を超える参加者に加え、大会アンバサダーとして、インフルエンサーのけんたさん、日向涼子さん、愛あむさん、annaさんが参加され、大盛況となりました。

わたしは全部で4つ設定されたコースのなかで、一番距離の長い「ふくしま復興ライド120」(123km)の撮影を担当。
浜通りの魅力である「海と山」、そして美しい田園地帯、マイナスイオン降り注ぐ渓谷沿いを走る、まさに「浜通り堪能フルコース」。計4箇所あるエイドステーション(参加者の水分、エネルギー、栄養補給をサポートする場所)では、それぞれの地元の特産物が振る舞われ、皆様それぞれの旬味を堪能していました。
ロケハンと撮影当日の2回、実際に車で走ってみて驚いたのは、良い意味で震災の爪痕がほとんど目にはいらないコースだったこと。もちろん震災の爪痕を見ていただくことも重要なことですが、どちらかと言えば、前へ進んでいっている姿を見てほしいと常に願っているわたしにとって、嬉しいコース設定でもありました。
車通りは少なく、震災後に整備された道路が多く、そして景色も最高なので、参加者のみなさんが本当に気持ちよさそうにサイクリングを楽しんでいるのが伝わってきました。

撮影はというと、「撮影→車で先回り→撮影」の繰り返し。なかなかタフではありましたが、カメラの横を通り過ぎる時に声かけてくださる参加者の方がだんだんと増えてきて、なんだか皆さんと近しくなれた感じがして、わたしも楽しく撮影させていただきました。
ただ、話を聞いて想像していたよりも自転車のスピードがずっと速くて、カメラやドローンのセットも含め、すべての行動をいつもより倍早くしなければならず、スタート直後から後手後手になってしまいました。なかなか冷静さを保てず、あらかじめ練っていた映像も思っていたように撮れず….。こんな感じでしたのでロケハンをしっかりしておいたことは本当に助けになりました…。後半は、自分なりにあれこれと工夫しながら続けいくなかで、盛り返せた部分もあり、新しい経験と学ぶことの多い撮影ともなりました。

9月7日(日) 「グランフォンドふくしま140」
続く9月7日は、本格的な公道レース「グランフォンドふくしま140」(147km)🚴♀️🚴♂️🚴。
福島県浜通り地区の15市町村を舞台とする市民ロードレースで、国内では数少ないラインレース(周回コースではない)の一つ。さらに来年からはアマチュアレーサー最高峰のUCIグランフォンドワールドシリーズ大会に格上げされ、ニセコで開催される世界選手権の出場権を得られる予選大会となることが確定しています。まさに「福島から世界へ」が現実のものへ。今年はそのプレ大会となり、来年と同じコースで開催されました。参加レーサーは男女合計309名!昨年から急増とのことで、注目度の高さが伺えました。

147kmに及ぶレースは、残り約4km地点でアタックした石井雄悟選手が優勝!ガッツポーズしながらのゴールシーン、めちゃくちゃかっこよかった!


「沿道からの応援が温かかった」という選手の声も聞かれ、レースなのでもちろん結果は大事ですが、こうした地元の方たちとのつながりが感じられたことも本当に嬉しく感じました。今後さらに地元の方が関わり、一緒に楽しみ、地域一体になったレースになっていくことでしょう。
撮影は、とにかくレースのスピードが速いので(今大会の平均速度42km)、わたしが撮影できるのは、楢葉町の天神岬公園でのスタート、南相馬市の馬事公苑の「グランフォンドふくしま140」のスプリント賞獲得ポイントと「メディオフォンドふくしま80」のスタート、またすぐに天神岬公園に戻ってゴールシーン、この3つのシーンの撮影に限られました。それでも、とにかく時間との戦いでずっと焦りっぱなしでしたので、天神岬に戻りハシケンさんに「メディオフォンドふくしま80のスタートシーンは撮れましたか?」と尋ねられたとき、撮影した記憶がなく焦ってしまいました。(実際はしっかり撮っていましたヨ〜(ホッ)。本当に覚えていなかった….)。
撮影を終えて
前日まで台風が接近し、雨が降っていた浜通り。大会関係者によると開催も危ぶまれる状況だったそうです。しかしながら、台風は太平洋側に急激に方向を変えそのまま温帯低気圧に。大会二日間は最高の天気に恵まれました。ハシケンさんをはじめ、大会関係者、選手、楽しみにしていた地元の方々の情熱が起こした、まさにミラクルとしか言いようがありません。

前のブログでも書きましたが、復興を間違いなく強力に後押しするこの大会に、双葉町民として携わることができたことは本当に感慨深いものがありました。何かしらの形で、たとえわずかでも復興に関われたらと常に思ってはいましたが、まさか「撮影」という形で実現するとは夢にも思ってもいませんでした。大会中は必死すぎて、その気持ちもすっかり忘れていましたが、帰りの車の中で急に実感が湧いてきて、夕日が滲んで見えたあの景色は、恐らくこれからもずっと忘れません。
「復興」…. この言葉を口にするのは簡単ですが、もっと真剣に向かい合っていきたいという気持ちが強くなりました。これからは実際に行動を起こしていきたいものです。
撮影に関しては、とにかく自転車のスピードについていくだけ精一杯で、今となっては「もっとできたはず」という気持ちしかありません。「初めて」という言葉を言い訳にしたくはありませんが、とにかく経験ですね….。でもロケハンも前準備も徹底的に行い、日の出前から夕方までほとんど足を止めることなく撮影もしたので、自分にできることはやったと思います。

来年2026年は…..
来年2026年の「ツール・ド・ふくしま」は、世界選手権の予選大会へと格上げされ、国際的なさらに大きな大会へと変貌します。来年もたとえ撮影の声がかからなかったとしても、何かしら縁の下力持ちで、また参加できることを願っています。
と、書いていたら、ハシケンさんから「来年もお願いします」との連絡が!!!!ホッと一気に力が抜けたのと嬉しさで、外出先で涙腺崩壊でした(笑)
しかしながら、今のわたしの撮影技術のままでは来年は厳しいと思うので、撮影の腕をさらに磨いて最高の映像が撮れるように、もう今日から修練を始めていきたいと思います。
2025年9月18日
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