震災から14年。初めて3月11日に双葉町へ帰ってきました。

これまで3月11日前後は、あえて震災のことを考えないように過ごしてきたので、この日に戻ることに不安を感じていました。平常心を保つことができるのか…、そしてこの日に行くからには、意味のある映像を撮ることができるだろうか…。でも、ずっと逃げ続けることはできないし、いつかはしっかり向き合わなければならないとも感じていたので、今年はこの震災から14年目の日に戻ることを、年明け早々に決意したのでした。
そうして双葉町へ訪れた3日半は、たくさんの方達と同じ想いで同じ時間を過ごし、町への想いを語り合い、町への想いをさらに強めることができた、本当に有意義でエモーショナルな滞在となりました。今でも、被災した時のことを思い出すと、辛くて苦しい気持ちに押し潰されそうになる時もありますが、そうした気持ちと向き合いつつ、これからも前へ進んでいけそうな大きな経験となりました。やっぱり行ってよかったと、今は心から感じています。

さらに、10日、11日は町がたくさんの方で賑わっており、それもまたとても嬉しく感じた日でもありました。いつの日か、毎日がこんな賑わいのある町になるといいなぁ。

撮影は、双葉町を中心に、大熊町・浪江町・富岡町と、移動時間も含め20時間にわたるものとなりました。こちらも本当に有意義な撮影になったと感じています。
これまでは、ただ黙々と自分の感じたままに撮影するだけでしたが、果たしてこれで想いが伝わるのか、疑問に感じていました。
今回は、どうしたらもっと人々に伝わるような映像が撮れるだろうかと考えていく中で、メッセージボードを思いつきました。お会いする方に、双葉町への想いを書いていただこうと。
しかしながら、果たしてわたしのような名もないカメラマンにいきなりこんなお願いされた方はどう思うだろう….、そもそもこの企画自体が僭越ではないのかと、実行するかどうかは直前まで悩んでいました。
でも「まずは試しにやってみよう」と、いざ初めてみると、受けてくださった方々が、めちゃくちゃ真剣にメッセージを考え、心を込めて書いてくだることに、驚きと感激でいっぱいでした。「これでやってみようと!」と力と勇気をいただけました。
最終的に、3日半で14人(組)もの方からメッセージをいただくことができました。

今回、このようにして双葉町の方、移住されてきた方、訪れてきてくださった方たちと直に触れ合い、温もりを感じ、町や復興に対する想いを収録でき、「命」のある映像が撮れたと感じています。
この想いが、一人でも多くの方に届くように、今後しっかりと編集していきたいものです。

何よりも、わたし自身、双葉町民であることを誇らしく感じることができました。
協力してくださった皆様には、心からの感謝の気持ちでいっぱいです。

今回の撮影や取材した内容は、引き続きこのサイトや、映像はYouTubeで発信していけたらと思います。
時々、双葉町という、未曾有の複合災害から復興しようとしている町があることを、思い出していただけましたら幸いです。



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